「きもの健康学」聞いたことのない名前ですね。それもそのはず、私が作り出した名前です。「きもの」と「健康」という、一見無関係なものに見えるこの二つを結び付け、きものの健康影響をあきらかにしようというものです。
そのきっかけは、2002年に訪れました。
幼いときからきものに親しんで育った私にとって、きものは「らくで、ここちよいもの」でしたが、1978年に消化器内科医になってからは、病院からの緊急の呼び出しに備えて、きものを着るのは冠婚葬祭だけ、という生活になっていました。
2002年、奈良女子大学の教授に就任。それを機にきもので過ごす生活に戻りました。ところが学生から、「先生、毎日きものを着ていますが、苦しくないですか?」との質問が。きものを着て苦しいと感じたことのない私は驚きました。「どうしてそう思うの?」「だって成人式でレンタルのきものを着たとき、すごく苦しかったんです。こんな苦しいならもう一生、きものを着たくないと思いました。からだにも悪そうだし・・」
きものはからだに悪いのか、悪くないのか。医学領域での研究者としての経験を生かして調べてみようと思い立ちました。これが「きもの健康学」のはじまりでした。
2014年からは文部科学省・日本学術振興会の科学研究費の助成も受けて研究を進めてきました。
本サイトでは、この研究成果をわかりやすく説明しています。
きものはほんとうに健康に良いのか悪いのか、帯はなぜ苦しいのか、冬寒くて夏暑いといわれるが本当なのかといったことを明快に解き明かしてゆきます。同時に、帯を苦しくなく着用するにはどうすればよいのか、また冬の寒さや夏の暑さを防ぐ工夫などについても言及しています。
きものの良さを見直すサイトになることを祈っています。
京都大学付属病院 呼吸器内科 禁煙外来
京都大学医学部 健康情報学特任教授
日本きもの学会 会長
日本禁煙科学会 理事長
高橋裕子
目次
- なぜ、きもの健康学か?
- きものは健康に悪いと思う?思わない?
- きものの帯はなぜ苦しい?
- きものは冬寒い?
- ゆかたは夏暑い?
- きものを着用している人は健康?不健康?
- きもの着用の心理的影響は?
- 日本人女性の体格変化について
このホームページは、日本学術振興会科研費 「着物着用による身体的・心理的影響の検討(課題番号26350073)」(研究代表者 高橋裕子)による助成をうけて作成しました。