靴が原因と思われる足のトラブルを有する人の割合は?実に大人の60%が靴が原因と思われる足のトラブルを経験しているといわれています。
http://orthotics-society.or.jp/visitor/foothealth/trouble.html
そしてもっとも多いのが「サイズがあわない」ことから生じるトラブル、そして次に「かかとが高い」ことから生じるトラブルです。
サイズがあわないことから生じる、クツにとって当たり前のトラブルが、ぞうりにはありません。クツは足をくるみますのでサイズが重要ですが、指ではさんで使うぞうりは例外を除くとなんとサイズは1種類しかないのです。足をくるみませんから、かかとのくつずれも生じません。夏場に足が蒸れるということもありません。
かかとが高いことから生じるトラブルも、ぞうりには少ないのです。日本人女性がもっとも多く購入するクツのかかとの高さは5cmと言われています。この高さのクツがもっともビジネスシーンに適するとか、足が美しく見えて負担が少ないといわれていますが、クツ底の厚さは通常は5mm内外ですから、4.5cmくらいの傾斜があるという計算になります。
一方、ぞうりは、高さが5cmもあるのは礼装用で、通常は3.5cm前後の高さのぞうりが使われます。ぞうりはかかとの高さにかかわらず、底の厚みが1cm以上ありますから、5cmのぞうりの場合だと実質4cm、かかとが3.5cmだと2.5cmのくつのかかと高に相当する傾斜です。このように、傾斜がゆるやかであることが、ヒール高によるトラブルが少ない理由のひとつです。そしてもうひとつ、ヒールの高い靴の場合には、体重が土踏まずから前の部分に大きく掛かります。これは土踏まずのところに凸部がつくられていて、足の先端部分がクツの前の部分に固定されるようになっているからですが、ぞうりにはこのような凸部はなく、かかとから足の先端までが平たんです。この形で地面をけりますと、体重は足の後ろの部分にも前の部分にもかかるようになります。体重の分散がうまくできることから、足の特定の部分―とくに外反母趾などにみられるように足の親指の付け根などーに力がかかりすぎることが避けられます。
このほか、指で鼻緒を挟むこと、歩行のたびに小指側にもしっかりと体重をかけて地面を押すことができるしくみなども、健康にプラスと言われています。つまり、ぞうりは足にやさしい履物と言えます。実際、きものを日常的に着用している人たちの中には、クツをはくのが辛くてぞうりにしているという声も聞きます。
しかもこのぞうりの緩やかな傾斜が、歩くときにはほどよい傾斜となって、着物特有の小幅での歩き方を作り出すそうです。健康的なだけでなく美しく見えるとは、ぞうりはすばらしいものですね。
1点だけ注意を。ぞうりの中には、はなおが固い材質でできているものがあり、足の甲の部分の痛みの原因となることもあります。幸いなことに最近では、布や伸縮性のある素材でできた鼻緒をもつぞうりも発売されています。甲高な人は柔らかいはなおを持つぞうりを選ぶほうが無難です。